
埼玉労災では労災保険に多数の空調工事業の一人親方様にご加入いただいております。
一人親方労災でお悩みの方は、ぜひ埼玉労災にお任せください。
さて、この記事では、空調工事業とはどんな仕事なのか?年収や年収アップ方法などをお伝えします。
空調工事業に転職を考えている方、空調工事業の一人親方として独立を考えている方はぜひお読みください。
空調工事業の一人親方ってどんな仕事?
「空気のプロ」として、快適な空間を作る仕事
空調工事業とは、建物全体の「換気」や「温度管理」を担うシステムを設計・施工する仕事です。
空調というとみなさんが想像されるような家庭用のエアコン工事も含まれますが、実際にはオフィスビルや商業施設などの大規模な空調設備工事が多くの比重を占めます。
特に高層ビルや大型施設では、換気用の窓さえ設置されていないことも多く、窓を全て開けて自然換気することが難しいため、空調システムによる人工的な空気循環が不可欠です。
狭い室内では人が一人いるだけで酸素が薄くなるとも言われています。換気というのは非常に重要なんですね。
一般家庭では、エアコンを壁に取り付け、すぐ外に室外機を設置するシンプルな構造ですが、高層ビルや大規模施設では話が違います。
- 室外機は設置できないため、屋上や地上に大型の空調機器(チラー・冷却塔など)を集中設置
- ビル全体に配管やダクトを巡らせて、空気を循環・調整
- 換気や排気、温度・湿度の調整を一元的に制御
これらを計画し設計するのは設備設計会社やゼネコンなどの大きな組織が担当しますが、実際の配管の工事や機器設置など現場作業を行うのが、一人親方の空調職人です。
空調工事には大きく分けて、以下の2つのジャンルがあります。
・一般住宅向けのエアコン工事
- 主に家電量販店や不動産会社などからの依頼
- エアコン本体の設置や室外機の接続、冷媒配管工事など
- 5月~8月の繁忙期には、1日数件の取付けで大忙し!
- 繁忙期には月に100万円以上稼ぐ人も珍しくない
・ 大型ビル向けの総合空調設備工事
- 施工図に基づき、空調配管・ダクトの敷設、機器の据え付けを行う
- チラーやエアハンドリングユニット(AHU)、ファンコイルユニット(FCU)などの設置補助
- 現場ごとに作業内容が異なるため、柔軟な対応力と確かな技術が求められる
この2つの工事は、同じ空気をコントロールするための設備を取り付ける工事です。
しかしその内容は大きく違います。
取り付けるエアコンの構造自体はそこまで変わらないのですが、家庭用では室外機はすぐ近くにおけますが、大型ビルでは一箇所に集められています。
大型ビルでの工事の計画を立てるのは大手ゼネコンのような大きな建設会社です。
一人親方はその計画の図面通りに、配管を引くような作業を請け負うことになるでしょう。
また毎年5月から8月にかけて家庭用エアコンはかなり忙しい時期に突入します。
家電量販店からの仕事の依頼では、1日に数台取り付けることも当たり前で、月に数百万円稼ぐ一人親方さんもいらっしゃいます。
空調工事業の年収は?一人親方は稼げるの?
空調工事の一人親方って稼げるの?
空調工事業の平均年収は436万円です。
建設業全体の平均で見ると高めで、日本人の平均年収と同程度です。
ただしこれはあくまでも平均年収です。
家庭用エアコン専門の方、大手ゼネコンの下請けの方など、何を専門でやっているかなどで、大きく年収は変わります。
下記は空調工事の会社に勤めている方の年齢別平均月収です。
- 20代 22.6万円/月
- 30代 33.6万円/月
- 40代 43.5万円/月
20代でも建設業の中でも比較的高く、年齢が上がるにしたがってきちんと月収は上がっていく傾向です。
空調工事業は出来る技術によっても、年収は大きく変わるようです。
独立して一人親方になった場合は、平均年収1000万円前後とかなり高く、さらに会社として職人を数人雇うようになれば年収1500万円以上も可能となります。
これは夏の家庭用エアコン設置の需要に乗って、仕事をどれだけ取れるかにもかかってくるでしょう。
空調工事業の一人親方が取得すると有利な資格
空調工事業の一人親方が取得すると有利な資格はたくさんあります。
- 冷凍機械責任者
- ボイラー技士
- 電気工事士
- 冷媒フロン類取扱技術者
- 電気工事施工管理技士・管工事施工管理技士
- 建築物環境衛生管理技術者
もちろんこれらすべての資格を取得する必要はありません。
ご自身が請け負う仕事内容に応じて取得しておくといいでしょう。
特に今後の建築業界はは「キャリアアップシステム」によって、資格や経験などが全て見
られるようになります。
資格がなければ仕事がもらえない。資格を持っている人に仕事が集まる。という傾向になっていくと言われています。
必要な資格はぜひ積極的に取っておきましょう。
一人親方にとって建設業キャリアアップシステム登録が必要な理由とは
冷凍機械責任者
冷凍機械責任者とは、エアコンの設備で使われる高圧ガスを扱うための資格です。
冷凍機械というのは空調の一つです。その責任者ということで冷凍倉庫などの仕事では重宝される資格です
第一種、第二種、第三種があります。
- 第一種:全ての製造施設における製造にかかわる保安
- 第二種:1日の冷凍能力が300t未満の製造施設における製造にかかわる保安
- 第三種:1日の冷凍能力が100t未満の製造施設における製造にかかわる保安
必要に応じて取得を目指しましょう。
ボイラー技士
ボイラー技士とは労働安全衛生法における国家資格です。
空調や温水ボイラーの操作や点検を行うことができる資格です。
会社はボイラー技士の資格保有者以外にボイラーの取り扱いをさせてはいけないという制限があります。
そのためこの資格があるだけで仕事が見つけやすくなります。
- 特急ボイラー技士
- 一級ボイラー技士
- 二級ボイラー技士
の3つにわかれており、伝熱面積の大きさによって扱えるボイラーが変わります。
ボイラー技士資格は、まず二級を講習によって取得します。
その後実務経験に応じて級が上がっていく仕組みですので、試験を受けなくてもステップアップすることが可能です。
しかしその場合は実務経験が必須となり、特急ボイラー技士を取るのに最短でも7年かかります。
各級の試験も用意されており、早く取得したい方は試験を受けて合格するという道もあります。
電気工事士
電気工事士は電気工事の作業に従事するための国家資格です。
電気工事士法の定めにより、電気工事の範囲が定められています。
この資格がなければ電気を扱う工事に従事することはできません。
- 第一種電気工事士
- 第二種電気工事士
に分かれており、一般用の工事は第二種で対応できますので空調工事業では第二種を取得すれば第一種は必要ありませんが、事業用の工事になると第一種電気工事士の他にも、ネオン設備工事士や非常用予備発電装置などの資格が必要になる場合があります。
第二種電気工事士は試験に合格をするか、専門学校や職業訓練などで受けられる経済産業大臣認定の電気工事養成施設の卒業をすれば取得ができます。
そこからさらに第一種を取るには5年の実務経験及び、電気工事の専門課程を修了する必要もあります。
冷媒フロン類取扱
冷媒フロンとはエアコンなどで使われている冷媒のことで、特殊なガスを使用しています。
冷媒フロンはオゾン層の破壊など環境問題に関与するため、特別な方法で充填や回収を行う必要があります。
その際に必要な資格が冷媒フロン類取扱技術者です。
エアコンや空調の仕事は、冷媒とは切っても切り離せないので、取得しておくと良い資格といえます。
実務経験が3年以上必要でかつ、空調に関する資格をすでに取得しておく必要があります。
管工事施工管理技士
施工管理技士は建設業の許可を取ったり、大きな仕事(工事費用が1000万円以上)を請けるために必要な資格です。
一人親方として必ず必要なものではありませんが、独占資格ですので潰しが効きますし、従業員として会社に所属する場合でも優遇されるなど有利となります。
さらに会社を大きくして企業として運営していく時にも必要な資格です。
年収にも大きく関わってくる資格と言えるでしょう。
空調工事業の場合、管工事施工管理技士もしくは電気工事施工管理技士の取得が必要です。
1級と2級があり、試験内容も違いますが注意すべきは受験資格です。
特に1級はかなりの実務経験が必要になります。
http://www.fcip-shiken.jp/den1/
によると、
- 指導監督的実務経験を1年以上含んでいる場合
- 大学の指定学科を卒業して3年以上の実務経験
- 大学の指定学科以外を卒業して4年6か月以上の実務経験
- 短期大学、高等専門学校(5年制)の指定学科を卒業して5年以上の実務経験
- 短期大学、高等専門学校(5年制)の指定学科以外を卒業して7年6か月以上の実務経験
- 高等学校の指定学科を卒業して10年以上の実務経験
- 高等学校の指定学科以外を卒業して11年6か月以上の実務経験
- 上記学歴によらない場合は15年以上の実務経験
- 二級建築士試験合格者で合格後、5年以上の実務経験
- 2級建築施工管理技術検定合格者で合格後、5年以上の実務経験
- 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満の者で短期大学、高等専門学校(5年制)の指定学科以外を卒業して9年以上の実務経験
- 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満の者で高等学校の指定学科を卒業して9年以上の実務経験
- 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満の者で高等学校の指定学科以外を卒業して10年6か月以上の実務経験
- その他の者は14年以上の実務経験
- 専任の主任技術者を1年以上含んでいる場合
- 高等学校の指定学科を卒業し、8年以上の実務経験
- 高等学校の指定学科以外を卒業し、9年6か月以上の実務経験
- その他の者は13年以上の実務経験
- 2級建築施工管理技術検定の合格者で合格後、3年以上の実務経験
- 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満の者で短期大学、高等専門学校(5年制)の指定学科を卒業して、7年以上の実務経験
- 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満の者で高等学校の指定学科を卒業して、7年以上の実務経験
- 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満の者で高等学校の指定学科以外を卒業して、8年6か月以上の実務経験
- 2級建築施工管理技術検定合格証明書交付後5年未満の者でその他の者は12年以上の実務経験
- 2級建築施工管理技士の受験資格
- 大学の指定学科を卒業し、1年以上の実務経験
- 大学の指定学科以外を卒業し、1年6か月以上の実務経験
- 短期大学、高等専門学校(5年制)の指定学科を卒業し、2年以上の実務経験
- 短期大学、高等専門学校(5年制)の指定学科以外を卒業し、3年以上の実務経験
- 高等学校の指定学科を卒業し、3年以上の実務経験
- 高等学校の指定学科以外を卒業し、4年6か月以上の実務経験
- その他の者は8年以上の実務経験
- 職業能力開発促進法による技能検定に合格した者
1級と2級ともに学歴によって必要な実務経験が異なりますが、学歴がなくても、実務経験さえあれば取得できる資格です。
2級を取った後、実務経験を積んで1級を受験することができます。
しかし合格率は20%を切る難関資格であり、比較的新しい資格ですので資格保有者自体もまだ少ないです。取得条件も厳しい資格ですので取得すれば、かなり有利になる資格と言えるでしょう。

空調工事業で一人親方として働くメリット
空調工事業で一人親方になるメリットは仕事が多いので独立しやすいことと、夏場に必ず仕事があることです。そして仕事がなくならない、安定した業種とも言えます。
空調というのは建設業においてとても重要で、一般家庭でも大型ビルなどでも必ず必要な設備です。空調のない建物などないのです。
特にエアコンの取り付けなど一般住宅の需要はとても大きく、引っ越しに合わせて購入したり、故障して買い替えたりするので工事がなくなることはありません。
むしろ職人が少なく引く手あまたとなっていますので、夏場に一気に稼ぐことも可能なのです。
夏だ集中的に働いて、他の季節は休むという働き方も可能かもしれません。
空調工事業のデメリット
デメリットを上げるとすれば体力的にかなりきつい仕事だということです。
たとえば個人宅での家庭用エアコンの取り付けは基本的に一人で行います。
エアコンは重さが20kg以上あります。それを一人で担いで脚立に上がって取り付けなければなりません。やはり力がないと到底無理な作業です。
間違って落としてしまったら壊して弁償なんてことにもなりかねません。
しかも作業は夏場、基本的にエアコンが付いていない部屋での作業ですから、汗もダラダラです。
空調工事業の労災事故事例
最後に空調工事業の事故事例を掲載します。電気が関わる仕事ですので安全第一での作業が必須です。
天井裏の空調設備の配線修理中に感電し死亡
被災者は、電気技師として同僚とともに病院の施設資材課に所属し、ビル管理会社から派遣されている3名の電気技師とともに病院の機械設備の点検、整備等の作業を行っている。
当日、この病院の病棟看護師から被災者に、ある病室のファンコイルユニット(病室の天井裏に設置された空調設備: 100V,86/100W)が、「電源を切ってもうるさい」との連絡があった。ビル管理会社の責任者はその原因がモーターバルブ(ファンコイルユニットに冷温水を供給する配管を開閉するバルブ)が完全に閉止できずに水が流れて音がするのだと判断した。
そこで、新しいバルブを用意して午前9時40分頃に被災者と責任者は異常のある病室に行った。脚立を立てて天井裏のファンコイルユニットとモーターバルブの位置を確認し、被災者が天井裏に上ってファンコイルユニットの外箱に跨った。
その少し前、責任者は病室内の壁にあるファンコイルユニットのリモートスイッチを「OFF」にした。
午前10時頃、天井裏に上った被災者は、モーターバルブの既設の電線を切断し切断した電線の端部の絶縁被覆を剥いて、接続用のスリーブを差し込み圧着ペンチで圧着したところ、感電しその場に倒れた。
それを見た責任者は、直ちに被災者を救出し、病院内で蘇生措置が施されたが、約1時間30分後に死亡した。
フロンの置換による酸欠事故
室内にある空調用冷凍機を定期検査中、冷媒として使用しているフロンが噴出し、作業者が酸素欠乏症により被災したもの。
まず、安全弁を油回収器に2個、凝縮器に2個取り付け、次に、安全弁の気密試験を行うこととした。これには、トーチの炎色反応により微量のフロン22を検出するハライドトーチ式フロンガス検知器を用いた。
その際、Aが、油回収器に取り付けられている安全弁の周辺にある均油管を踏んだため、均油管と均油閉鎖弁の接続部が損傷し、当該接続部から潤滑油に混じってフロンが漏れ出した。
Bはこの状況を見て、損傷箇所からのフロンおよび油の漏出を止めようとした。この間にAは、油タンクの圧力を調べようと均油管と油タンクの接続部に近づき、ネジ込み部分のナットをゆるめた。すると突然ナットがはずれ、油とフロンが大量に噴出した。Aは階段部分まで約6mを自力で歩いて脱出しようとしたが、途中で意識不明となり、Bに発見され救急車で病院に収容された。
空調工事業の一人親方のまとめ
空調工事業は他の業種と比べて年収が高く稼ぎやすいと言える業種です。
仕事が多いので一人親方として独立もしやすく、夏場にかなり稼げる仕事だともいえるでしょう。季節労働者として働くことも可能ですし、会社として人を雇って組織化すれば大きく稼ぐことも可能です。ただし体力的にはかなりきつい仕事であることは間違いありません。体力に自信のある方、体力をつけたい方にとってはお勧めの職種と言えるでしょう。