
船舶工事業に従事する一人親方の皆様へ、労災保険の加入をご検討中であれば、埼玉労災にお任せください。多くの造船関連工事に携わる一人親方の方々が、当団体を通じて労災保険へ加入しています。
「造船工事でも一人親方労災保険に加入できますか?」というご質問をよくいただきますが、答えはYESです。船舶工事は建築物と異なりますが、実際の作業内容は管工事・電気工事・内装仕上げ・機械器具設置など、建設業と共通する部分が多くあります。そのため、一人親方労災保険の対象になります。
船舶工事業とはどんな仕事?
船舶工事とは、文字通り「船」を対象にした工事を指します。ただし、船舶自体は建設物に該当しないため、建設業許可とは切り離されています。
船舶には構造や内装、水道・トイレ・浴室・調理設備などがあり、工事の中には明確に建設業的な作業も多く含まれます。ただし船舶一式の建造は造船業にあたるため、建設業の許可が必要な範囲とは異なります。とはいえ、仕事を受注する際に建設業許可を求める元請けも多いため、取得しておくに越したことはありません。
なお、船舶工事での経験は建設業の実務経験には含まれず、工事経歴にも記載されません。建設キャリアアップシステムにも反映されないため注意が必要です。
船舶工事業の仕事内容
船舶工事では以下のような工事が行われます:
- 内装仕上げ工事
- 給排水衛生設備工事
- 空調・換気設備工事
- 解体工事
一人親方として働く場合、これらの中の一部の専門作業を受け持つことが一般的です。
船舶工事業の年収について
船舶工事業の平均年収は約432万円で、建設業全体の平均と同程度、日本の平均年収と同水準です。
年代別の月収例:
- 20代:約22.6万円
- 30代:約33.7万円
- 40代:約43.6万円
仕事内容や地域、保有資格などにより年収には幅があります。
一人親方に有利な資格
一人親方として安定的に仕事を獲得し、キャリアアップを図るためには、特定の国家資格を取得しておくことが有利です。以下に紹介する資格は、船舶工事業だけでなく建設業全般においても評価されるものです。
施工技能士資格
技能士資格は、特定の職種における技能を国家が認定する制度です。
代表的な資格には以下のものがあります:
- とび技能士
- 鉄工技能士
- 内装仕上げ施工技能士
- 塗装技能士
- 内燃機関組み立て技能士
資格がなくても業務は可能ですが、元請企業や大手事業者との契約においては、技能士資格の有無が判断材料になることも多く、受注チャンスに大きな差が出る場合があります。また、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録時に、これらの資格を保有していると、レベル評価の際にも有利に働きます。
施工管理技士資格
現場を統括し、安全・品質・工程などを管理する立場となるために必要な資格です。特に規模の大きなプロジェクトや、元請企業との取引で役立つことが多いです。
対象資格:
- 1級建築施工管理技士
- 2級建築施工管理技士
1級は取得までに長期間の実務経験が必要ですが、大規模工事で主任技術者や監理技術者として就任できるため、取得できれば収入面にも直結します。
受験資格の一例:
- 学歴・専攻や職務経験年数により細かく規定。
- 学歴なしでも長期の実務経験があれば受験可能(例:1級は15年、2級は8年程度)。
試験内容や受験申込方法は、施工管理技術検定の公式サイトをご確認ください。
船舶工事業で働くメリット
船舶工事業はニッチな業界であるため、参入者が少なく専門性を武器に安定した需要を確保しやすいという利点があります。また、一般的な建設業と共通する作業内容が多く、設備や配管、内装といった技術を応用できるため、スキルの幅が広がります。
工事内容は繊細で高度な技術が求められる分野も多く、一度技術を身に付ければ、長期的に安定した仕事が得られる可能性が高いです。特に公共性の高い船舶関連施設や、大型の造船プロジェクトに関わるチャンスもあり、やりがいのある職種と言えるでしょう。
デメリット
一方で、船舶工事業には以下のようなデメリットも存在します。
- 建設業としての実務経験にカウントされにくい:
船舶工事での作業経験は、建設業の許可申請時に必要な「実務経験」として認められないことが多く、キャリア形成の障壁になる可能性があります。 - 建設キャリアアップシステム(CCUS)上で履歴にならない:
経歴がCCUSに登録されないため、建設業界内での等級評価や客観的なスキル証明がしづらいという欠点があります。 - 業界が限られている:
船舶関連の工事案件自体が限られており、地域や景気に左右されやすい面もあるため、安定した収入を確保するには他の建設業と並行して仕事を行う必要がある場合もあります。
船舶工事業の労災事故事例
船舶工事では、高所作業・重量物の取り扱い・火気使用作業など、事故のリスクが非常に高い作業が多く含まれています。以下に代表的な労災事故事例を紹介します。
1. 作業用ゴンドラからの墜落事故
建造中の貨物船で作業用ゴンドラを使用して高所作業中、吊り下げ部のフックが外れて作業床が大きく傾き、作業員が転落し死亡。安全帯や顎紐を着用していなかったことが致命的な要因となった。
2. 鋼板倒壊による挟圧事故
鋼材置場にて複数枚積み重ねられていた鋼板から一枚を取り出す作業中、チェーンを外した直後に鋼板が倒れ、作業者がシャー機の側面に胸部を挟まれて死亡。
3. 船内での火災事故
作業員が船室の拡張工事にてガス溶断を行っていた際、火花が断熱材であるウレタンフォームに引火。火勢が急速に拡大し、逃げ遅れた作業者が死亡した。
これらの事例からも分かるように、船舶工事は他の業種と比較しても高リスクな作業が多く、万が一に備えて労災保険に加入しておくことが非常に重要です。
まとめ
船舶工事業は特殊で競争の少ない分野であり、一人親方として働くにはチャンスの多い業界です。しかし建設業としてのキャリアには反映されにくい側面もあります。将来的には建設業と並行してキャリアを積むことで、業務範囲・収入面ともに安定が望めるでしょう。
また、事故リスクの高い作業を伴う業種であるため、労災保険への加入は必須と言えます。
船舶工事業で労災保険に加入を検討される場合は、埼玉労災までお気軽にご相談ください。